トランプ大統領がやりたかった事:歴代大統領の肖像画を見ると各大統領の想いが分かる

アメリカ全般
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ホワイトハウスの大統領執務室に飾られる肖像画や装飾品には、その時の政権の大統領がどのような思想を持っているのかを垣間見られると言われている。

時の大統領は肖像画が保存されている部屋からいくつか自分好みのものを選んで飾るのが慣習になっている。

バイデン大統領の執務室の装飾品の意味

バイデン政権になった日に、それまでトランプ大統領が掲げていたある象徴的な肖像画がすぐに取り替えられた。

アンドリュー・ジャクソン大統領の肖像画だ。

そしてそこには新たにベンジャミン・フランクリン大統領のものが飾られた。

ワシントン・ポストによると、ベンジャミン・フランクリンの肖像画はバイデンの科学への敬意を反映しており、月の石はアメリカの志を表しているという。

机の向かいの壁はこのようになっている。

画像1
バイデン大統領の執務室

壁には、フランクリン・ルーズベルト大統領を真ん中に飾り、その両脇には四人の偉人が飾られている。

上段はトーマス・ジェファーソン大統領とアレクサンダー・ハミルトン財務長官で、下段はアブラハム・リンカーン大統領、ジョージ・ワシントン初代大統領だ。

トーマス・ジェファーソン大統領とアレクサンダー・ハミルトン財務長官の絵画は対になっているのは、2人の建国の父は意見がぶつかったという事を受けて、相反する意見が役に立つことを示していると言われている。

他にも、先住民チリカウア・アパッチの彫刻家アラン・ハウザー氏による先住民の騎馬像などが飾られている。この騎馬像は、私も記事で取り上げた日系人で442連隊で活躍した故ダニエル・イノウエ上院議員(民主党、ハワイ選出)が持っていたものらしい。

また、公民権運動活動家のマーティン・ルーサー・キング牧師やローザ・パークスの胸像もある。他にはロバート・F・ケネディーやエレノア・ルーズベルト、労働組合幹部で公民権活動家のセサール・チャベスなどの進歩派や活動家の姿が展示されている。

チャベスの息子でセザール・チャベス財団の会長であるポール・F・チャベスは声明で

「父の胸像を大統領執務室に置くことは、我々の国にとって希望に満ちた新しい夜明けを象徴している。それは私の父を称えるということではなく、もっと重要なのは、父が命をかけて戦って守った人々の思いと力を表すからだ」

と述べた。

絵画や胸像以外に、トランプ時代から大きく変わったものは、レゾリュート・デスクの後ろに掲げられていたアメリカ軍旗だ。バイデン政権になって国旗と大統領紋章旗に取って代えられた。

さらにカーペットもクリントン時代の青いものに変えられた。

また注目すべきは、議論を呼んでいた、2度の世界大戦時にイギリスの首相だったウィンストン・チャーチルの胸像が撤去されたことだろう。

前々代の大統領バラク・オバマ氏がチャーチル像を撤去したが、その理由を、当時の英外相だったボリス・ジョンソン英首相は、

オバマ氏は大英帝国に対して先祖以来の嫌悪があるからだ。(ケニアがイギリスに搾取された経緯で)

と非難していた。

トランプ氏は就任時にこれをすぐに執務室に戻した。

これらの大規模な装飾品の変化に対して、バイデン政権の報道官は

「オーヴァル・オフィスは大統領の個人的な執務室であり、大統領の望みどおりに装飾される」

と説明している。

トランプ時代の象徴であったあの肖像画は誰か

では、トランプ大統領はどんな大統領の肖像画を飾っていたのだろうか。

彼の一番近くに飾られていた肖像画は前述したバイデンによって直ちに排除されたアンドリュー・ジャクソン大統領(1829年に第7代大統領に就任)のものだった。

この肖像画を選んだ理由は実は深い所にあったことはあまり知られていない。

まず、アンドリュー・ジャクソン大統領は、メディアではいつもトランプ大統領と比較されて語られる大統領の一人だ。

というのも、トランプ大統領はジャクソン大統領のように

粗野な人だ

とレッテルを貼られているからだ。

また、トランプ自身も、ポピュリスト(大衆主義者)であり、アメリカ史上で唯一、議会から不信任決議をされたジャクソン大統領のことを、しばしば自らを重ねていた。

しかし、ジャクソン大統領の肖像画を選んだのには他にもとても重要なメッセージが込められていると言われている。

アンドリュー・ジャクソンとはどう言う人物だったのか

まず、ジャクソン大統領のどんな所が粗野であると言われていたかというと、他の政治家と違って貧しく育ったことで、高い教育を受けられなかった所だ。

今では日本人でも皆使っている「OK」という言葉はジャクソンがAll Correct(すべて正しい)の頭文字をOll Korrectと間違えたのが始まりという伝説があるくらいだ。

しかし、彼はそれをアピールポイントにしていた面もあった。彼と大統領選を争ったジョン・クインシー・アダムスはジャクソンをジャッカス(ロバ。間抜け)と呼んだが、ジャクソンはそれを逆手にとって、ロバを自分のシンボルに使った。この選挙時に現在の民主党が結成されたので、民主党のシンボルはロバになったのだ。

ジャクソンは「本もろくに読めない」と言われた無学もまた自分のセールスポイントにした。なぜなら、その頃、アメリカでは選挙権が白人の成人男子すべてに拡大されたからだ。

建国以来、アメリカで選挙権を持っていたのは大土地所有者だけで、当初は人口の一割にも満たなかった。政治家に選ばれるのも、裕福な地主の息子で、高い教育を受けた知識人ばかりだった。なので東部の少数のエリートが政治を独占していたのだ。

しかし、辺境の貧しい開拓者たちから選挙権拡大を求める声が大きくなり、ついにそれが実現した。

ジャクソン陣営は東部のエリートたちを特権階級として激しく攻撃した。トランプが共和党主流派をエスタブリッシュメント(既得権者)と呼んで、庶民の怒りを向けさせたことと似ている。

ブッシュJrやヒラリー・クリントンが「アメリカのロイヤル・ファミリー」と呼ばれて叩かれたように、アダムズは第2代大統領ジョン・アダムズの息子であることで「貴族的だ」と非難された。

アダムズは貴族的な態度を決して崩さなかったが、ジャクソンは貴族的でない、時には乱暴な、しかし誰にでもわかる言葉で話した。これもトランプ大統領のスピーチの方法とよく似ている。「コモン・マン(普通の男)」と呼ばれたジャクソンは圧倒的な得票率でアダムズに勝利した。


無学で貴族の出身でない候補ということで、最初は泡沫候補扱いだったのに、あれよあれよと人気を博していき、最終的には選挙で勝利したところもトランプ大統領の大勝利のストーリー展開によく似ている

ジャクソン大統領の暗殺秘話

ジャクソンはアメリカの大統領として初めて暗殺されかかった人(この理由については後に記述)なのだが、その時の神がかりなエピソードもある。

ジャクソンを殺そうとした犯人はおよそ4メートルの距離まで近づき1発目の引き金を引いたが、これが運よく不発で終わった。彼はさらに2メートル近くまで迫り寄って、もう一度引き金を引いたが、信じられないことに、これも不発だったのだ。
後になって不発の原因は、2挺とも火薬が湿っていたためということが分かったのだが、この奇跡的な確率でしかありえない偶然が、ジャクソンの身に起こった瞬間だった。神に護られたと信じる人も多いのはそれが理由だ。

歴代屈指の名大統領としての功績

いつも話題に事欠かない大統領だったが、実はジャクソンは歴代屈指の名大統領として高く評価されている点はフェイクニュースメディアは絶対に伝えないだろう。

どういうことかと言うと、彼は

【上流階級の人間でなくても、また優れた学問や教養を修めていなくとも、人は統治を行えるだけの知性と徳性を備えていると確信し、金持ちがより金持ちとなり、権力者がさらに大きな権力をもつようなシステム】

を破壊したアメリカで最初の〈反知性主義〉の大統領だったのだ。

具体的には、特権階級の既得権を破壊する過激な政策を次々と断行していった。

例えば、それまで行政府を独占していた東部エスタブリッシュメント出身の公務員を全員クビにして、自分を支持した人々と入れ替えた。この公務員を総入れ替えする政策は、公務員の特権階級化と腐敗を防いだと高く評価されている。

この点も、自分の政策を遂行するに邪魔になる人は、エスタブリッシュメントでも躊躇せずに解雇することが多かったトランプ大統領と似ている。

また、サウスカロライナ州の離脱運動を未然に抑え込み、メキシコやフランスとの戦争を回避する知恵も見せた。分断政治をせずに、戦争を極力回避するところもトランプ大統領と同じだ。(トランプ大統領は一度も戦争を始めなかった大統領だったことを誇りに思っていると退任演説でも言っていた)

さらに重要なのは、この点なのだが、ジャクソン大統領は自分の命を賭けてまでアメリカを守ろうとした大統領だった点だ。

中央銀行の破壊だ。

以下に詳しく説明する。

当時の中央銀行(第二合衆国銀行と呼ばれていた)は、ロンドンシティやウォール街の金融資本家が8割の株を持っている状態だった。この銀行の期限が1836年に迫っている時、ジャクソン大統領自身の任期切れまで一年あったのだが、彼はあらゆる脅迫を受けながらも最後まで延長を認めなかったのだ。

第二合衆国銀行とは名ばかりで、外国の金融資本家に支配されている通貨発行銀行であったので、アメリカ国民のためにならないということで最後まで免許更新を拒否して、それを潰したのだ。(これが暗殺の原因になった)

この事でアメリカ大統領として最初に暗殺のターゲットになった大統領となった。

民間の中央銀行が再び(3度目)設置されたのが1913年でウィルソン大統領のもとで行われたのだが、それがFRB(連邦準備銀行と呼ばれる)の創設だ。この時の経緯については詳しく記事にしており、アメリカを知る上でとても大事なことなのでそちらも併せてお読みいただけたらと思う。

『一枚岩でないアメリカ:トランプ大統領は誰と戦ってきたのか』

大きな違いは100%民間資本の銀行になったことだ。つまり今のドルは民間銀行が発行しているのだ。政府はアメリカドルを利子を払ってFRBを発行してもらっているので、政府が超巨額な借金をし続けている事になっている。

ジャクソン大統領の話に戻るが、彼はこの中央銀行(第二合衆国銀行)を潰した後も均衡財政を維持することに注力し、決して放漫財政に陥いることがなかった。

現在でも20ドル紙幣の「顔」に起用されているジャクソン大統領(ただし2020年以降には別の黒人女性像に変わる予定)

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トランプ大統領は何故、【暗殺】されたのか

さて、このジャクソンがやったことをトランプ大統領もやりたかったのではないかと言われているのだが、それには以下の様な理由がある。

トランプ大統領が出したの大統領令には【Presidential Executive Order on Core Principles for Regulating the United States Financial System 米国金融システム規制のための主要原則に関する大統領令】というのがあるが、ここに重要な一文があると指摘されている。それが以下の一文だ。

restore public accountability within Federal financial regulatory agencies.
(連邦金融監督機関の公的責任を回復する)

これは暗喩的に『政府通貨を取り戻せ!』と言ってるのではないかと想像されている。

さて、アメリカの憲法では、紙幣を鋳造・発行する権利は議会が持つと書かれているに関わらず、現在の米ドルは議会ではなく、完全民間銀行のFRBが発行しているという、言わば憲法違反状態が続いてきているということだ。

そのため、Moneyと書いたら憲法に違反してしまうので、ドル札にはmoneyじゃなくてNoteと印刷されてるという説がある。(今一度、上の画像を見直して見て欲しい)

ところで、わたしはこんな貴重な紙幣(おもちゃ)を持っている。

MAKE AMERICA GREATの$2020紙幣

よくあるおもちゃの安い紙でなく、触った感じも大きさも色も本物の紙幣そっくりによく作り込んであるし、書いている内容もユーモアたっぷりだ。(銀行の名前が合衆国リカバリー銀行になっているw)

画像3

この紙幣を眺めていたら、トランプ大統領が二期目も当選できた後の次の4年間でやりたかったことは(ここが本丸)やはり政府発行の紙幣だったのではないかと思えてくる。

政府通貨を発行しようとした大統領は歴代全て暗殺(もしくは暗殺未遂)されてきたアメリカだ。トランプ大統領も不正選挙によって、政治生命を絶たれた訳なので事実上、暗殺された形になったと言える。

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