メディアが報じないアムネスティ・インターナショナルの戦場報告

グローバリズム
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国連人権高等弁務官事務所の最新報告

最近、【人権】という言葉をよく聞く様になった。

どんな民族や国の人間でも、人権を守ることは日本が戦前から大事にしてきた価値観だ。

10年以上前から知る人は知る新疆ウイグル自治区での人権弾圧。今まではアメリカでも日本でも自分の周りの誰に聞いてもピンとも来ない様子だったが、トランプ政権時代にアメリカが超党派で問題視したことで少し光が当たるようになった。

つい最近では、9月1日にスイスのジュネーブに本部がある国連人権高等弁務官事務所が、新疆ウイグル自治区の人権状況についての報告書を公表するまでになった。

報告書は、ウイグル自治区において、ウイグルの人達などイスラム系住民に対して「テロ対策などを名目に深刻な人権侵害が行われている」などと指摘しており、中国政府に対して拘束されているウイグルの人たちなどを解放するよう求めている。

これを受けて、スイスの中国政府代表部は

「この報告書は反中勢力がでっち上げた嘘の情報を主な情報源にしており、中国を誹謗中傷するとともに内政に干渉し、国連人権高等弁務官事務所の信頼と公平性を著しく損うものだ。

という声明を出し強く非難している。

この様に同じ場所の状況であっても、誰の目線からの報告かでまるで違うものになる。どちら側でもない公平な視線で見る人にとっては「明らかな人権侵害」であっても、中国から見たら「何も問題がない」となるのだ。

これはどんな状況でも起こりうることだが、こと戦争となると激しいプロパガンダ合戦になることは容易に想像がつく。西側メディアとロシア側メディアでは報道が全く異なるのはご存知の方も多いかもしれない。

国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルが指摘するウクライナの戦争戦術への批判

アムネスティ・インターナショナル(略称AI もしくはアムネスティ)といえば、誰でも一度は聞いたことがある人権団体だと思う。

アムネスティは国連との協議資格をもつ非政府組織(NGO)で、良心の囚人を支援・救済する運動から始まったが、現在はそれ以外にも国際法に則った難民の保護・救済活動や死刑の廃止・人権擁護などを啓発する運動を行っている団体だ。団体のシンボルマーク(有刺鉄線が絡んでいる灯りの点る蝋燭)は「暗闇を呪うより一本の蝋燭に火を点せ」というメッセージがある。

その国際的な人権団体が、ウクライナ国内の戦場をチームで詳しく調査した結果、ウクライナ軍が取っている戦い方が民間人を保護しておらず、逆に犠牲にする形になる国際法に則らないやり方で行われている箇所が多々あるという報告書を出している。

メディアでは盛んにロシアが民間人の居住地区や商業施設を意図的に爆撃している様子を何度も流し、ロシアの戦争犯罪のみを強調する流れを大きく作っているが、ジャーナリズムの本来の形はどちら側の情報も民衆に伝えることのはずなのに、昨今のジャーナリズムは「報道する自由」と「報道しない自由の両刀使いをし、明らかに民衆の物の見方を一方向のみに誘導しているようにしか見えない。

アムネスティ自身もことわっているが、アムネスティがこの様な報告書を提出したからといって、アムネスティがロシアの無差別攻撃を正当化しているわけでもなく、また親露派というわけでもない。単なる事実の列挙だ。

私も、2022年2月24日よりずっと以前から当事国の間にあった事実の列挙をするだけで、相当な攻撃や親露派のレッテルを貼られて迷惑してきたが、この様な人達はアムネスティ人権団体に対しても同じ様に親露派だ言うのだろうか。

もしそうなら、そういう人達は思考を止めてしまい、自分の信じたい物語のみを脳内で作って満足している狭い見識の人達なのだという解釈にすることにしようと思う。

以下に報告書のアメ見た訳を掲載しておく。

アムネスティ・インターナショナルの報告書(日本語訳付き)

題目【ウクライナ: ウクライナの戦闘戦術は一般市民を危険にさらす】

・学校や病院を含む住宅地に設置された軍事基地
・民間人が多く住む地域から攻撃を開始
・このような違反行為は、無数の民間人を死傷させたロシアの無差別攻撃を 決して正当化するものではない。

アムネスティ・インターナショナルは、2月に始まったロシアの侵攻を撃退するために、ウクライナ軍は学校や病院を含む人口密集地の住宅地に基地を設置し、兵器システムを運用することによって、一般市民を危険にさらしてきたと発表した。

このような戦術は、国際人道法に違反し、民間人を軍事目標に変えてしまうため民間人を危険にさらすことになる。その結果、人口密集地におけるロシアの攻撃は、民間人を殺害し、民間インフラを破壊している。

アムネスティ・インターナショナル事務局長のカラマード氏は、

「我々は、ウクライナ軍が人口密集地で活動する際に、一般市民を危険にさらし、戦争法に違反するパターンを記録している。防衛的な立場にあるからといって、ウクライナ軍が国際人道法の尊重を免れることはない」

と述べた。

しかし、アムネスティ・インターナショナルが記録したロシアの攻撃はすべてこのパターンに従っているわけではない。ハリコフ市の一部地域を含め、アムネスティ・インターナショナルがロシアが戦争犯罪を犯したと結論づけた他の特定の場所では、ロシア軍によって不法に標的とされた民間地域にウクライナ軍がいた証拠は見つからなかった。

4月から7月にかけて、アムネスティ・インターナショナルの研究者は数週間にわたり、ハリコフ、ドンバス、ミコライフ地方におけるロシアの空爆を調査した。空爆現場を視察し、生存者、目撃者、攻撃の犠牲者の親族にインタビューを行い、リモートセンシングと武器分析を実施した。

これらの調査を通じて、研究者はウクライナ軍が地域の19箇所の町や村で、人口の多い住宅地内から攻撃を開始し、民間の建物に拠点を置いている証拠を発見した。同組織のCrisis Evidence Labは、衛星画像を分析し、これらの事件のいくつかをさらに裏付けた。

兵士が身を寄せたほとんどの住宅地は前線から何キロも離れていた。民間人を危険にさらすことのない軍事基地や近隣の密集した森林地帯、あるいは住宅地から離れた場所にある他の建造物など、有効な代替手段が利用可能であったのにだ。

アムネスティ・インターナショナルは、記録した事例の中で、住宅地の民間建造物に身を置いたウクライナ軍が近くの建物から避難するよう民間人に求めたり、支援したりした証拠が見つからなかった。これは、民間人を守るために実行可能なあらゆる予防措置を講じなかったことにほかならない。

民間人居住区からの攻撃


ドンバス、ハリコフ、ミコライフにおけるロシアの空爆の生存者や目撃者は、アムネスティの研究者に、空爆の前後にウクライナ軍が自宅近くで活動し、ロシア軍からの報復射撃にその地域をさらしていたと語った。アムネスティ・インターナショナルの研究者は、このような行為を多くの場所で目撃している。

国際人道法は、すべての紛争当事者に人口密集地内またはその近くに軍事目標を設置することを可能な限り避けるよう求めている。その他、攻撃の影響から民間人を保護する義務として、軍事目標付近から民間人を排除することや、民間人に影響を与える可能性のある攻撃について効果的に警告を発することなどがある。

ミコライフの南にある村で6月10日にロケット弾攻撃で死亡した50歳の男性の母親は、アムネスティ・インターナショナルに対し以下の様に答えた。

「ウクライナ軍が我が家の隣の家に滞在しており、息子はよく兵士に食べ物を持って行っていました。私は息子の身の安全が心配で、そこから離れるように何度も懇願しました。その日の午後に空爆があったとき、息子は家の中庭におり、私は家の中にいましたが息子はその場で殺されました。彼の体はズタズタに引き裂かれていました。私たちの家は一部破壊されました。」

アムネスティ・インターナショナルの調査員は、隣の家でウクライナ軍の装備や制服を発見した。

リシチャンスク(ドンバス)のタワーマンションに住むミコラは、ロシアの攻撃で少なくとも1人の高齢者が繰り返し死亡した地区で、アムネスティ・インターナショナルに対し

「何故わがウクライナ軍が現場からではなく、都市から発砲するのか理解できない」

と語った。

また、別の住民(50歳男性)はこう語った。

「近隣で軍事活動が行われているのは間違いないです。発砲があると、その後に着弾の音が聞こえます」

アムネスティ・インターナショナルの研究者は、年配の男性が殺害された住民が使っていた地下シェルターの入り口から20メートルほど離れた住宅地の建物を兵士が使っているのを目撃している。

5月6日、ドンバスのある町で、ロシア軍はウクライナ軍が大砲を使用していた、ほとんどが平屋か2階建ての家の近所で、広く禁止されている、本質的に無差別なクラスター弾を使用しました。70歳のアンナが息子と95歳の母親と暮らす家では、破片が家の壁を傷つけた。

アンナさんはこう語った。

「破片がドアを突き破って飛んできました。私は中にいました。ウクライナの大砲は私の畑の近くにありました。兵士たちは畑の後ろや家の後ろにいました。彼らが出入りするのを見ました。戦争が始まって以来、母は体が麻痺しているので逃げることができませんでした。」

7月上旬、ロシア軍がミコライフ地区の農業用倉庫を攻撃し、農業従事者が負傷した。この攻撃の数時間後、アムネスティ・インターナショナルの研究者は、穀物倉庫にウクライナ軍の人員と車両がいることを目撃し、民間人が生活し働いている農場から道を隔てた場所にある倉庫を軍が使用していたことを目撃者に確認した。

アムネスティ・インターナショナルの調査員が、ハリコフやドンバス、ミコライフの東の村々で、住宅や隣接する公共施設の被害を調べている間、近くのウクライナ軍陣地から発信音が聞こえてきた。

バフムートでは、複数の住民がアムネスティ・インターナショナルに、ウクライナ軍が住宅用高層ビルから通りを挟んで20メートルほど離れた建物をかろうじて使用していたことを語った。

5月18日、ロシアのミサイルがこの建物の正面を直撃し、アパート5棟が一部破壊され、近隣の建物にも被害が及んだ。この攻撃を生き延びた住民のカテリナさんはこう語った。

「何が起こったのか理解できなかった。窓ガラスは割れ、家の中にはたくさんの埃がありました。私がここに留まったのは、母がここを離れたがらなかったからです。母は健康問題を抱えているのです。」

3人の住民がアムネスティ・インターナショナルに語ったところによると、空爆の前、ウクライナ軍は爆撃を受けた建物の向かいの建物を使っており、ミサイルが当たったときに被害を受けた別の家の前には軍のトラック2台が止まっていたという。

アムネスティ・インターナショナルの調査員は、土嚢や窓を覆う黒いビニールシート、米国製の新しい外傷用救急機器など、建物の内外に軍の存在を示す痕跡を発見した。

「軍が何をしようと私たちは何も言えないが、代償を払っている」と同じく空爆で自宅が被害を受けた住民はアムネスティ・インターナショナルに語っている。

病院内の軍事基地

アムネスティ・インターナショナルの研究者は、5カ所でウクライナ軍が病院を事実上の軍事基地として使っているのを目撃した。二つの町では、数十人の兵士が病院で休んだり、動き回ったり、食事をしたりしていた。別の町では、兵士が病院の近くから発砲していた。

4月28日のロシアの空爆で、ハリコフ郊外の医学研究所の職員2人が負傷したが、これはウクライナ軍がその敷地内に基地を設置したためだった。

病院を軍事利用することは、明らかに国際人道法違反である。

学校にも軍事基地

ウクライナ軍は、ドンバス地方やミコライフ地域の町や村の学校に日常的に基地を設置している。紛争が始まって以来、学校は生徒のために一時的に閉鎖されてきたが、ほとんどの場合、建物は人口の多い民間人居住区に近いところに位置していた

訪問した29校のうち22校で、アムネスティ・インターナショナルの研究者は、敷地内で兵士が使用しているのを見つけたか、現在または以前の軍事活動の証拠(軍服、廃棄された軍需品、軍の配給袋、軍用車両の存在など)を発見した。

ロシア軍は、ウクライナ軍が使用していた学校の多くを攻撃した。少なくとも3つの町では、ロシア軍による学校への砲撃の後、ウクライナ兵が近くの別の学校へ移動し、周辺の地域が同様の攻撃を受ける危険性があった。

オデッサの東にある町では、アムネスティ・インターナショナルは、ウクライナ兵が民間地域を宿泊場所や中継地として利用するパターンを幅広く目撃した。これには、純粋な住宅街の木の下に装甲車を置いたり、人口密集地の住宅街にある二つの学校を利用したりすることが含まれる。

学校付近でのロシアの攻撃により、4月から6月下旬にかけて数人の民間人が死傷した。6月28日に自宅へのロケット弾攻撃で死亡した子供と年配の女性もその一人である。

バフムートでは、ウクライナ軍が大学の建物を拠点としていたところ、5月21日にロシアの空爆を受け、兵士7人が死亡したと伝えられている。大学は空爆で被害を受けた高層住宅に隣接しており、約50メートル離れたところにある他の民家とともに空爆で被害を受けた。アムネスティ・インターナショナルの研究者は、爆撃を受けた大学の建物の中庭で軍用車両の残骸を発見した。

国際人道法は、紛争当事者が授業が行われていない学校に拠点を置くことを特に禁止していない。しかし、軍事的にやむを得ない場合を除き、民間人が多く住む住宅やアパートの近くにある学校を使用し、これらの人々の生命を危険にさらすことは避ける義務がある。その場合、民間人に警告を発し、必要であれば避難を支援する必要がある。アムネスティ・インターナショナルが調査したケースでは、このようなことは起こっていないようである。

武力紛争は子どもたちの教育を受ける権利を著しく損ない、学校の軍事利用は破壊を招き、戦争が終わると子どもたちのこの権利はさらに奪われることになりかねない。ウクライナは、武力紛争下で教育を保護するための協定である「安全な学校宣言」を承認した114カ国のひとつであり、当事者は実行可能な代替手段がない場合にのみ、放棄されたり避難したりした学校を利用することを認めている。

ロシア軍による無差別攻撃

アムネスティ・インターナショナルがここ数カ月間に記録したロシア軍の攻撃の多くは、国際的に禁止されているクラスター弾を含む本質的に無差別な武器や、広範囲に効果を及ぼす他の爆発性武器で行われた。また、様々なレベルの精度を持つ誘導兵器を使用したものもあった。場合によっては、特定の対象物を狙うのに十分な精度を持つものもあった。

ウクライナ軍が人口密集地内に軍事目標を設定したことは、ロシアの無差別攻撃を決して正当化するものではない。紛争当事者は常に軍事目標と民間人を区別し、武器の選択を含め、民間人への被害を最小限に抑えるためにあらゆる実行可能な予防措置を講じなければならない民間人を殺傷したり、民間物を破損したりする無差別攻撃は戦争犯罪である。

アムネスティ・インターナショナル事務局長のカラマール氏は以下の様に述べた。

「ウクライナ政府は、軍隊を人口密集地から離れた場所に配置するか、軍隊が活動している地域から民間人を避難させることを直ちに確認すべきである。軍隊は戦争に従事するために決して病院を使ってはならず、実行可能な代替手段がない場合の最後の手段としてのみ、学校や民家を使用すべきである」

アムネスティ・インターナショナルは、2022年7月29日、ウクライナ国防省に調査結果を伝えるために連絡したが、出版時点ではまだ回答はない。

感想

西側メディアが、ロシアが民間施設を爆撃して民間人を大量に殺していると感情的な報道している時に、この報告のような事実も同じ様に報道されているのを聞いた人はどれだけいるのだろうか。

ウクライナが国際法違反である「人間の盾作戦」をやっているという事実は何故、隠す必要があるのだろうか。そこを報道したとしても【だからロシアは悪くない】ということにはならないはずだ。

今までも何度も言ってきた様に、事の真相を知らないままに、メディア(もちろんウクライナ完全支援側)の煽りをそのまま鵜呑みにして【ロシアだけが全て悪い、ウクライナは善である】という二元論に陥るのはとても危険だ。

それは今回のウクライナ・ロシアのことだけでなく、どの戦いにおいても同じことが言える。ましてや日本は今回、戦争当事国でもなければ、どちらの国とも同盟国でもなかったのに、ウクライナへの武器提供や資金提供を積極的にしながら、駐日ロシア大使を強制排除したり、「安倍元総理の国葬儀にプーチンが来たいと言ってもお断りする」などとプーチンの意思表明がない段階から喧嘩を売る様な発言を日本政府から出したりと、まるでアメリカ民主党の言いなりになっているだけのお粗末な行動しか取らなかった。

ロシアは隣国であり、領土問題もある。今も昔も警戒し、慎重に外交をしないといけない国であるし、さらに日本の隣国には日本本土にミサイルを常に向けている北朝鮮とチャイナもいる。これらの国が強く結びつき、日本を敵国として牙を向けてくることを一番、避けないといけないことだったはずだ。

日本とロシアの最後の架け橋であった安倍総理は暗殺され、その糸は切られた。この戦争でロシアを完全に叩きのめしたかった西側の意図は結局、上手くいかなかった。次は日本が当事国になるように仕向けられていく方向に動いていくのは間違いない。

その時に「いざとなったらアメリカが助けてくれるから!」などと期待している人は悲しい現実を見る事になるだろう。

【今回は『メディアが報じないアムネスティ・インターナショナルの戦場報告』について語っていきました。
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