知っておきたい!国民国家とは一体、何?意外に浅い歴史を紐解く

知っておきたい歴史の真実
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普段、我々が何気なく使っている「国民」や「国家という言葉。

何やら大昔からあった概念のように思われているが、これらは案外、最近できた概念であり、言葉だ。

我々の偉大なご先祖が知恵を絞って作って下さった外来語からの訳語である。

どのようにできたのか、一度、整理しておこうと思う。

国家の語源

日本語で「国家」と翻訳された「ステイト」は、フランス語の「エタ」やドイツ語の「シュタート」と同じ語源だ。

もともとはラテン語のスタトゥスから派生している。

この「スタトゥス」は立つという意味の動詞の過去分詞形で地位、身分、財産を意味した。

元々、この「ステイト」という言葉はアメリカ独立戦争の際に十の州が自らを「ステイト」と名乗ったところから日本に入ってきた言葉だ。

そしてこれがいわゆる現代でいうところの「国家」というものの始まりの形になった。

アメリカの場合は、東海岸の移民が独立戦争から勝ち得たものはイングランド王の私有財産であり、移民が反乱によって王の財産を力づくで奪ったので「ステイト」と呼んだわけだが、明治の我々の先人はそれを「国家」と訳したわけだ。

国家というのは、とてもよい言葉で日本人的な感覚の言葉だと思う。

もともとの漢語では「国家」と使われる時は全く違う意味をもっていた。

「国」とはすなわち城壁で囲まれた都市。家とは家庭を意味する。

つまり「国家」とは「公生活と私生活」と訳せる。

現代のチャイナで国家という言葉が日本語と同じ意味で使用されているのは、日本語の言葉がチャイナに逆輸入されて使われ始めたからだ。

「国家」という字面が今の意味を表すのは日本人が作った言葉だ。

現代チャイナ語の約7割が日本語であるということについては詳しくブログ記事にしてあるので興味のある方はそちらをご参照あれ。  

国民の語源

次に「国民」という言葉。

これは、英語の「ネイション」、フランス語の「ナシオン」、ドイツ語の「ナチオーン」の訳語として19世紀の日本人が作った言葉だ。

「ネイション」は新しくできた「国家」(ステート)の正当な所有権を持つ人達を表す言葉

として使われた。

二つ合わせて「国民国家

アメリカ独立以前は世界のどこにもなかった政治形態だ。人工的に作られた新しい政治形態とそこで権利を持って住む人達の固まりと土地を表すものが18世紀の終わりに突如として世界に表れた。

その流れがヨーロッパに飛び火し、フランス革命が起こり、あとはご存知の通りだ。たくさんの国家が各地で出来上がっていた。

日本では明治維新の頃、日本における「国民国家」の形を作る事を余儀なくされた。

日本はヨーロッパやその他の地域と全く異なり、幸運にも太古から既に国境線が海により引かれており、同じ言語を話し、文化宗教もほぼ同一の一つの民族がいた。

上を見れば、時の権力者からも常に敬意を持って、「権威」として存在し続て来られた天皇陛下がいる。

日本は既に「国民国家」の基盤がほぼ、出来上がっていた。

これが日本の近代化が驚くほど、スムーズに運んだ大きな要因だろう。 

我々が普段、気軽に使っている「国家」や「国民」という言葉も概念も実はとても最近に出来たものであり、世界の歴史を考える時もその感覚で俯瞰することはとても重要になってくる。

日本はある意味、とても稀な国である。そしてとても幸運でもあった。

これだけの奥深い文化が継承し続けられたのも、この「国家」(一つ一つの家族が集まってそれが国になるというとても暖かい訳語が私は個人的にとても好きだ)という概念が地方自治(大名)の時代から脈々とあったからだと思う。

家族の絆、近所の絆、自治体の絆、市の絆、府や県の絆、それが集まり国となる。

日本は今、この「国家」が壊されようとしている。

 

 

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