アメリカの共和・民主の二項対立に埋もれるもう一つの党:リバタリアン党の作るユートピア

アメリカ全般
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Q信者と間違われるわたし

わたしはネットの一部界隈では、陰謀論に陥った日本人の馬鹿なトランプ信者としてレッテルを貼られているようだが、わたしの夫は今でもかなりのトランプ嫌いだし、親戚も纏めてみんな反トランプという有様だ。

彼らは民主党も共和党もどちらも嫌いという立場は変わっていなくて、基本的に政治家はほとんどが💩(失礼。。彼らの言葉をそのまま使いましたw)だという感じなのだ。

それは単にイメージや反社ぶってそういうことを言っているのでなくて、実生活での経験値からきている。

アメリカは共和党、民主党が強大な力を持っているので、選挙になっても二項対立状態で、他の弱小政党は歯も立たない状態だ。しかし、政党がないわけではない。

グリーン党やリバタリアン党というものがある。

自称認識派の人たち

今回は色々ある小さな政党の中でも、あの渡瀬裕也さんというツイッターでは【ブロック大魔王】と名高いという方が(わたしも身に覚えのないブロックをされている😢)

『自分は元々はリバタリアンだ。2020年の大統領選で日本の保守に近寄り過ぎたのが間違いだった。』

と言われている渡瀬さんが信奉するリバタリアン思想とはどういうものなのかについて歴史的経緯も加えながら語ろうと思う。

この渡瀬さんという方は、トランプを応援していた日本人から距離を置いて、自分たちのグループを【認識派】と名乗っている方の一人だ。

そのグループメンバーは(動画から見ると)

数々の保守的と言われるYoutube動画作成を担当している和田賢治さんを筆頭に、KAZUYAさん、ケント・ギルバートさん、上念さん、奥山さん、渡瀬さん、倉山さん(掛谷さんは入っているのかどうか分からない)のようだ。

この方たちは

トランプ大統領の再選に期待して応援していた日本人をまとめて

「陰謀論に騙された(陥った)低能日本人」

と今だに揶揄しているという噂を聞いた。

さてこの中でも、日本の中に本物の保守政党を作りたいと活動されていた渡瀬裕也さんの意見には、彼からブロック攻撃を受ける以前は私も共感していて見ていた。

今でもその考えは大事だと思っている。

話はそれたが、彼が理想としているリバタリアン思想の話する前に、まずアメリカの建国の思想の歴史から話そう。

アメリカ建国の思想の元

アメリカ独立宣言については学校で習って基礎的なことは知っている日本人は多いと思うが、今日はもう少し踏み込んだお話をする。

独立宣言の冒頭の

『人間は生まれながらに平等である。』

という部分はとても有名な言葉だ。

この思想は元々はイギリスの哲学者のジョン・ロックから来ている。

イギリス革命時に、このロックやホッブズなどの思想家は自然権を唱えていた。

では、その自然権とは、、

自然権とは

・全ての個人は生まれながらにして、自由、平等、所有という自然権を神様から与えられている。

・バラバラの個人が共同で国家を作ろうという約束をした(これを社会契約という)

・そして、国家を作る目的というのは、個人では自然権を守りきれない場合に、共同体を作ることで、治安を守る警察や軍隊は作ろう。

だから、総合すると

【国家を作り、その国家が担う役割というのはこの個人の自然権を守るためなのだ】

というのがこの二人の思想家の基本的な考え方になる。

この思想に基づいて、アメリカの建国の父たちがアメリカという国家を作った。

この思想は後に続く、フランス革命にも深く影響していることは、フランスの人権宣言にも全く同じ条項があることからも分かる。

しかし、フランス革命があまりに過激でやり過ぎてしまい、意見がくい違う反体勢力をギロチンにかけまくっていた。(このフランス革命の酷さは当時にフランスに滞在していた日本人外交官も「セーヌ河が真っ赤に染まる様子を見て驚愕してすぐに日本に帰ったという逸話も残っている。)

それをイギリスから見ていたエドマンド・バークは、これはやっぱり社会契約という考え自体がおかしいのではないかと言い出した。

エドマンド・バーク

バークは、そもそも人間とは個人で生まれることなどありえないわけで、家族があり、地域があり、様々な共同体の中の一員として生まれるのだから、ただの個人としてポッとどこか木の股からでも(日本風に言えば竹や桃の中から)生まれるという思想はおかしいという考え方だ。

それぞれの共同体というのは長い時間をかけて培ってきた伝統があり、その伝統というのは、そこに住む人間が、悪いものを捨てて良いものを残してきて今あるのが伝統だから、基本的に長く続いてきた伝統とは正しいものだ。だからこれをむやみに今を生きる者達が変えてはいけない。

と言った。

そして、これが保守の思想の源流(イギリス保守主義)となっている。

これは日本の保守思想に近いと思われる方も多いだろう。

しかし、その後に19世期になって、バークに対する批判がでてくる。

ジェレミー・ベンサム

社会契約的な思想(神様みたいな超絶的な力のものが人間に生を与えたもうたというのは間違っている)というのも、バークのように長く続いているものを全て認めろというのもどちらも間違っているとベンサムが主張し始めた。

彼の思想は簡単にいうと、

人間は理性があるのだから社会を作り替えても良い。しかし、どういう社会が良いかとか理想とするかというのは個人によって違う。だから全部、多数決で決めてしまおう!

というものだ。

この頃は、イギリスで普通選挙が広がっていた頃なので、自然に彼の思想も広まっていったのは想像しやすい。

これをわかりやすく、今の日本の万世一系問題に置き換えると、、

バーキアン派(バーク論を支持する人)

先祖が代々繋いできた長い伝統なのだから、万世一系を繋ぐべきだ。

ベンサマイト派(ベンサム論を支持する人)

昔の状況と今は違うんだから、現代を生きる人間が国民投票で女系を認めても良いではないか。

という感じになるだろうか。

リバタリアン思想がアメリカに受け入れられる理由

包括的に見ると、リバタリアンの思想はベンサムに近いものになる。

なぜなら、人間を共同体の一部でなくて、人間を個人として見るからだ。

そして、ベンサム的な考えがアメリカで広まったのは、当然であったとも言える。そもそもアメリカを建国したのが、イギリスの伝統社会から逃げてきた人たちなのだから。

また東部のエリート的な人たちでなく、貧しい西部開拓民は個人が武装して、先住民と戦い、ログハウスを作って、自給自足の生活を営んでいたような人たちだから、基本的に個人個人の思想が好きなのだ。そこがヨーロッパとの一番の違いだろう。

だから、近現代になってもアメリカにはもともとそういうベンサム的な個人主義が受け入れやすかったと言える。

ロシア系ユダヤ人とリバタリアン思想

さて、このアメリカ開拓農民に元々あった個人的な精神にロシア革命の影響が入ってくるのが、帝政ロシアが崩壊した時だ。

帝政ロシアが崩壊して、共産党になる時に沢山の金持ちがロシアから追われて逃げてきたが、その富裕層のほとんどはユダヤ系だった。

アメリカで有名なのは、、

アイン・ランド

アイン・ランドはロシアから逃げてきたユダヤ系の女性。彼女はスターリン独裁、共産主義、ファシズム、アメリカのリベラル(大きな政府)を全て否定し、徹底的な個人主義に支えられた資本主義を称賛した思想を文学で表現した人物で、リバタリアンの教祖的な扱いをアメリカでは受けている。

代表作は『ファウンテンヘッド』(「水源」(邦題)

これは、超有名で私も大好きな建築家のフランク・ロイド・ライトをモデルにして描いたゲーリー・クーパー主演の「摩天楼」という映画の元にもなった。

また他の代表作には「肩をすくめるアトラス」というのがある。

これはアトラスというギリシャ神話にでてくるような巨人のような能力を持った人たちがアメリカの統制が強まっていく社会の中で行き場を無くして、山奥に逃げて、そこに新しい共同体を作っていく姿を描く。アメリカを主導する巨人のような能力の実業家たちが去っていった後のアメリカはさまよって崩壊するという近未来SF小説になっている。

この本はのちのFRB議長になったグリンスパンが絶賛した。トランプ、ポンペオ、トーマス最高裁判事なども愛読したことは有名。

ロバート・ノージック

ロバート・ノージックは一家でロシアからアメリカに逃げて哲学者になった人物だが、ロシア共産党的な統制国家、全体主義を批判し、アメリカ的な自由主義や個人思想を賛美した。

しかし、それでもまだまだ政府の力が大きすぎるから、政府の力を最小限にして、国家というのは、他国からの侵略を防ぐ国防と治安の維持だけやれば良いと唱えていた。

「アナーキー・国家・ユートピア」(邦訳版)

「アナーキー・国家・ユートピア」(英語版)

ロバート・ハインライン

ロバート・ハインラインは海軍出身で、その軍事経験を活かして「宇宙の戦士」という小説や、「月は無慈悲な夜の女王」という小説を書いた。これはスペースコロニーの独立運動の中での国家と個人の葛藤を描いていて、驚くことに日本の【機動戦士ガンダム】の元ネタになった本と言われている。

リバタリアン党創設者

さて、上記の哲学者や小説家の影響を受けて、デイビッド・ノーランというアメリカ人が1971年にリバタリアン党を創設した。

かなり若い政党だ。

彼は、民主党も共和党もどちらもアメリカの官僚組織(DC)に牛耳られているから、アメリカ国民のための政党でなくなってしまった。だから自分たちはアメリカの個人の小さな農民や個人商店主を守るという目的で党を結成した。

左派リベラル VS  右派保守党

という二項対立のアメリカにどちらにも属さない新党ができた。

彼の思想は彼が作ったノーランチャートに表れている。

リバタリアン

チャートの下は【経済的な自由度】を示し、上は【個人的な自由度】を示している。

右にいけばいくほど個人が自由競争で儲かる社会を目指す。

左にいけばいくほど、競争を押さえて分配しようとする力が強まる(社会主義)

上にいけば自由主義になる、下にいけば独裁体勢になる。

とてもわかりやすいチャートだ。

リバタリアン思想を突き詰めていくと??

つまり、

左下が社会主義独裁(共産主義)

左上がリベラル(自由を認めるけど分配もする)

右上が個人の自由を最大化して、経済的自由も最大化(リバタリアン思想)

右下が伝統保守(個人よりも国家を優先)

ということは、、

リバタリアンの思想を突き詰めるとグローバリズムの思想になっていかないだろうか?

右上はとんでもない才能と資産がある個人がどんどん能力を伸ばして国家を乗り越えてお金儲けしやすくなる世界だ。国家を乗り越えてということは、自然に多国籍企業になっていき、国際金融資本と繋がり、GAFA(Google Apple Facebook Amazon)のようなグローバリズムの世界になっていくのだから。

【GAFAの躍進を支えて、グローバリズムを拡大させたのはリバタリアン思想があったのではないか?】

という鋭い見解を示されていた方がおられる。

彼女もリバタリアン思想と現代社会がGAFAの巨大ユートピアのようになっているグローバリズムの関係性を指摘している。

GAFAを生み、育て、その独裁を許し、アメリカ議会までもがひれ伏す神聖な帝国を築かせたのは、卓越した商品やサービスを生み出す起業家こそが大きな価値を生み出し、応分の見返りを得るに値するという信条、シリコンバレーなどアメリカの西海岸に巣食うリバタリアンのDNAだ。GAFAが体現するリバタリアンのDNAとは、次の3点に要約される。第1に、権威ではなく個人がそれぞれの目標と幸福を定義できるとする「個人主義思想」、第2に、少数の天才が社会を前進させる原動力になるという「英雄礼賛文化」、第3に、最小限の国家の介入を理想とする「自由市場経済」である。地上の四分の一を支配し、旧世界に侵食しつつある無慈悲な新世界は、自由至上主義者のユートピアなのだ。 GAFAの躍進を支えるリバタリアン思想の正体ー自由至上主義者のユートピアが現出した(脇坂あゆみ)東洋経済Online

民主党も共和党もどちらも国民のために働いていない。どちらもプロレスをやっているようだ

というのは私も同感だ。

だから共和党の中でも反トランプの人が根強く、どうしても引き摺り下ろさなくてはならない存在であったのだろう。

あの明らかな不正が蔓延る選挙に対して、民主主義を守ろうとする戦いの中でもトランプ大統領を必死に守ろうとした共和党員はどれだけいただろうか。ホワイトハウスの裏話(【トランプはいかにしてホワイトハウスを去ることになったのか】の中にも書かれていた様に、裏切り者も続々でてきて、また自分たちがそのまま裕福なエリート生活ができればそれで良いという態度の人が多いことがとても分かりやすかった。

今まではユダヤの話をするとすぐに陰謀だと言われていたが、事実がたくさん明るみに出てくる中でユダヤ系がアメリカに及ぼす力はとんでもないということに気付き始めた人も多いので、そろそろ陰謀論として蓋をすることは難しくなってきたのではないだろうかと私は思っている。

私に粘着して【こいつは東京の広告代理店のビルで働くどこかの組織の下で働く工作員だ】と何の根拠もない与太話を仲間内で拡散して個人攻撃してきていたグループ(詳しくはこちら)もユダヤが悪い論を展開していて、妄想の果てにわたしまでユダヤの工作員だというレッテルを貼って攻撃してきたが、私はユダヤとアメリカの関係は切ってもきれない物だと知っているし、ユダヤとアメリカ政治がどれだけ深く関係しているかについてはこれまでも詳しく記事に書いてきた。

陰謀論でなく、歴史的事実なのだ。

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