もくじ
陰謀論
陰謀論という言葉が巷では一人歩きしている感があるが、陰謀論と言えば、やはりトップに上がってくるのが、ユダヤ系の話ではないだろうか。
それもそのはず。
彼らは戦争景気で莫大な富を築き、その富を利用して、これまた絶大な影響力を政治、社会全体に及ぼしているのだから。
続きを読む: 陰謀論なのか:ロスチャイド家とロックフェラー家下々の我々には想像もつかない雲の上の存在的に扱われるので、なんとかその実態を掴もうとする多くの人たちの憶測話が膨れ上がって、あちらこちらに散らばる「トンデモネタ」にまで変化しているのだろうと観察している。都市伝説化していると言ったらわかりやすいだろうか。
しかし、幽霊話などとは違って、彼らは実際に存在する我々と同じ人間なので、歴史事実を積み上げていくことで実態を浮かび上がらせることはできる。
今回はネットでもよく上がる大財閥の二つである、ロスチャイルド家とロックフェラー家とは一体、どういう財閥なのかを見ていってみたいと思う。
まずこの二つはどちらもユダヤ財閥だと語られることが多いようだが、ロックフェラー家はユダヤ教徒ではなく、キリスト教の中でもバプテスト(プロテスタント系)であることを指摘しておきたい。
バプテスト系とはヨーロッパでの宗教改革時期のプロテスタントの一派で、カトリックの儀礼である幼児洗礼を否定する。(自分の意志で洗礼を受けるべきと主張)ヨーロッパで弾圧されたので多くはアメリカへ亡命。今では最大宗派になっている。
そしてロスチャイルドが欧州、ロックフェラーはアメリカと勢力圏も違う。
まずは歴史の古いロスチャイルド家から。
ロスチャイルド家
ドイツ・フランクフルト出身のユダヤ人金融業者。フランクフルト家、ロンドン家、パリ家と諸国に散らばっているが、特にロンドン家はナポレオン戦争の時にイギリス政府に融資したり、国債の売り買いを事前に画策ことで巨万の富を得た。その後にアメリカにも進出を図った。
このロスチャイルド家と日本の関わりはロックフェラー家よりも古く、明治時代から繋がりがある。
明治維新の裏側で薩長軍(明治政府側)を支えていたのがロスチャイルド一族だ。
また、長州の伊藤博文や井上馨などを密出国させて自分たちの代理人になるように指導した。
日本銀行を創設した薩摩の松方正義もロスチャイルドの影響下にあった。
また日露戦争で活躍した高橋是清は日銀副総裁の時にはユダヤ担当だった。
戦後の日本との関係でいえば、ロンドンの分家のエドモンド・ロスチャイルドが、戦後復興に尽力した。山手線を作る時の資金も彼が提供している。
そしてこれは日本にとって必ずしも良いことであったとは言えないが、日中国交樹立の際に佐藤栄作首相はこのエドモンドに相談し、尽力してもらったという背景がある。
ロックフェラー家
ドイツ南西部のラインラント・ファルツ州のロッケンフェルト出身の一族。宗派はプロテスタント。1720年代に北アメリカに移住。19世紀になってジョン・ロックフェラーが石油投資に大成功してスタンダード石油を創業。石油王と呼ばれる富を築いた。
このロックフェラー一族の中でも、日本で一番有名なのは、戦後復興に大きく寄与した1代目の孫にあたるジョン・D・ロックフェラー3世だろうか。
4世もICUに3年間留学して、日本語を勉強している知日派だ。
系統の違うユダヤ
ユダヤと言っても、スファラディ系だとか、アシュケナージ系などか、はたまたハザール系だとか、そういう文言が多用されて一体、何がなんだかわからなくなる人が多いと思うので簡単に説明しておこうと思う。
スファラディ・ユダヤ
イベリア半島を拠点としてたユダヤ人のことで、1492年にスペインから追放された時に主にオスマントルコ帝国、オランダ、フランス、イタリア、ドイツ(ハンブルグ)、イギリスに移り住んだ人達の総称として使われる。中東でアラブ文化の影響を強く受けながらも、スペイン語の方言の一つであるラディーノ語を話す人達もそう呼ばれる。
オリエンタル・ユダヤ
スペインから中東に渡った人達で、南アジア、中近東、北アフリカにいるユダヤ人をさす。この中で有名なのが、上海やインドのサッスーン財閥(聞いたことがある人も多いだろう)だ。
アシュケナージ・ユダヤ
対してアシュケナージとはヘブライ語でドイツという意味であることからもわかるように、ドイツや東ヨーロッパ周辺に移住したユダヤ人の総称として使用されている。
アシュケナージ・ユダヤはアメリカ、ロシア、イスラエルでは今でこそ支配層になっているが、昔のヨーロッパではプロレタリアート(無産階級)として迫害を受けていた人達だ。世界大戦の頃で言えば、スターリンやヒトラーに粛清されたのはこのアシュケナージがほとんどであった。
面白いことにロスチャイルド家がスファラディなのかアシュケナージなのかさえはっきりしたことは分かっていない。というのも一族自身が出自について説明していないからだ。(他のユダヤ大財閥のウォーバーグ家やジャック・アタリなどは自分達でスファラディだと公言している。)
例えば、30年くらい前の書籍では、スファラディとされているが、最近はアシュケナージ説が強くなっており、また元々はイラクあたりにいた説もでてきたりもしている。
しかし、ロンドン分家の1代目のネーサン・ロスチャイルドが婚姻を結んだコーヘン家がアシュケナージなので、いずれにしても混ざっているので、あまり意味のない議論なのかもしれない。
ハザール系ユダヤ人
中世から近世の時期にハザール王国(トルコ系遊牧民)というのが今のウクライナの東(黒海とカスピ海の間のあたり)にあった。その王国は、西のビザンツ帝国からはキリスト教になれと言われ、東からはイスラムになれと圧迫を受けた挙句、ユダヤ教に改宗した歴史がある。しかし、数はそんなに多くなかった。それよりもスペインから追放されたり、十字軍の攻撃などで安心して西ヨーロッパに住めないユダヤ人たちが現在のポーランドやウクライナのあたりに移り住んだアシュケナージ系の数の方が圧倒的に多い。
共産主義とユダヤの関係
共産主義の親として知られるカール・マルクスは有産階級に懐疑的で、富を分配をするという考えを広めたことから、ユダヤとは全く関係のないイメージが日本ではあるかもしれないが、彼の祖母がコーヘン家出身だったので、ロンドン・ロスチャイルド家とは深い関係にあり、実際にはパトロンに支えながら、自分は一切、お金の心配をせずに研究に没頭していたという完全に富裕層側の人間だと知れば、見方が変わるのではないだろうか。
それもそのはずで、共産主義とは庶民の味方というのは単なる建前であり、資本家が他の競合する資本家を倒すために考えられた論理だからだ。
例えば、ロスチャイルドがマルクスを使うことによってライバルを倒すためにこの共産主義思想を使った。
ということは、ジョージ・ソロスが仕掛けていると言われているアメリカの共産化というのも同じ流れであると見えてくる。
日本と財閥の関係
日本とユダヤ財閥の関係ももちろんある。
幕末には坂本龍馬が親交のあったグラバー商会が長崎にあったが、あれはロンドン・ロスチャイルド家がバックにあり、明治維新の資金源になっていた。(対して幕府側はパリ・ロスチャイルドが支える)
明治期には三井とロスチャイルド家との関係ができた。また、ワーバーグ家も三井財閥とは非常に近い関係で、50年ごとにお祝いの催しをするほどの関係。
日露戦争の時も資金調達のために日本の国債を売るのに尽力したのはロスチャイルド家。
ロックフェラーが日本に入ってきたのは昭和期だから後からになる。ロックフェラーがロスチャイルドと日本の間に割り込んできて、ロスチャイルドと関係の深い三井に対抗して、三菱と組んだことで、ロックフェラーが勢力を拡大する過程で三菱が急成長した。
そういうわけで、戦後の財閥解体の際には三井が対象になり、勝ち組だったロックフェラーが支えていた三菱が生き延びられたと見れば、合点がいく。
世界の戦争の裏に必ずいる財閥
戦争といえば国と国との戦いだと日本では教えられるので、あたかも国の指導者の責任のようにされるが、戦争をするには莫大な費用がいるのだから、必ずそれを支える大資本家がいるわけだ。
そして大資本家同士が実はそれぞれ違う国やもしくはその国の中の違う勢力に資金提供をすることで、財閥同士の勢力の奪い合いを裏からしていると見たら、世界史もまた全く違った目で見られたり、妙に辻褄があったりすることがある。
石油利権だけで見ても、ロスチャイルドとロックフェラーは敵対関係にある。ロスチャイルドはシェル石油とBPで、ロックフェラーはスタンダード石油だ。
例えば、元々ロスチャイルドに支えられていたチャーチル率いるイギリスが負けそうになっていた時にロックフェラーは援助しているが、同時にナチスにも援助していた。
ソ連においても、レーニンはロスチャイルドの支援を得ていたので、ロックフェラーはスターリンを支援することで体制をひっくり返したと考えると、その後のユダヤ人粛清も納得できる。
チャイナでは、蒋介石側にはロスチャイルド、毛沢東側にロックフェラーと考えても面白い。
日本はこのままで良いのか
こう見ていくと、世界大戦というのは超財閥同士の利権争いであり、それに小市民が巻き込まれ、被害を受ける立場にあると思えば、何とも腹立たしいが、簡単には変えられない構造であることは容易に察しがつく。
日本には侍精神や義の心というものが文化として定着しているので、世界に巻き込まれる前の日本国内では、戦というのは、乱れが起こった時に太平の世を作り直すためにするものであり、大義名分というものを大事にしていた。それは島国であり、ほぼ単一民族が住み、同じ言語を共有し、天皇が常に権威としておられたということも大きな関係があるだろう。
しかし、陸続きになっているユーラシアは勢力拡大したいと思えば、そして強ければどこまででも行ける。そして弱くなるとたちまち縮小する。そんな感じで弱肉強食の歴史を繰り返し、大きくなったり、小さくなったりを繰り返す度に、言葉も文化も伝統も違うそれぞれの民族間には複雑な恨みが残っていく。
江戸までの日本はそのような世界の流れを回避できていたためにあのような太平の世が続き、庶民文化が花開いた。実は庶民が一番、幸せな時代だったのではなかろうかと江戸文化を勉強するたびに感じる。
鎖国の扉をこじ開けられた日本は世界の流れに翻弄され続け、それからはずっと戦争の歴史を歩むことになった。
そして先の世界大戦で敗戦国になり、属国状態が続いている。
日本はこのままでいいのだろうか。
世界一古い国とギネス認定され喜んでいるが、世界一古い国と伝統を継承するその国の姿が今のままで良いのだろうか。
そんなことを考えながら今日も筆を置く。
【今回は『陰謀論なのか:ロスチャイド家とロックフェラー家』について語っていきました。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
沢山の方にシェアしたり、活動へのサポートを頂けたら励み💪になります!またツイッターでの発信もやっていますのでそちらの方も覗きにきてもらえたら嬉しいです。】
新字体・現代仮名遣い版 世紀の遺書 愛しき人へ/ハ-ト出版/巣鴨遺書編纂会