私がなぜトランプ政権を応援するのか

アメリカ全般
この記事は約8分で読めます。


LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加
Pocket

外交戦略に失敗し続けるアメリカ

アメリカは過去32年間、他国への軍事介入やクーデターを起こさせたりすることで、外交戦略において失敗の連続を繰り返してきた。

それに対して、誰も警鐘を鳴らしてこなかったわけではない。何度も、何度も賢い国際政治学者は

『こんなことを繰り返していたらアメリカが没落するぞ』

と言ってきた。

しかし、ワシントンの政治家たちはそこから学ぶどころか、なお同じ過ちをおかし続けてきた。

今回はその失敗の原因を説明する。

続きを読む: 私がなぜトランプ政権を応援するのか

7つの国際戦略理論(パラダイム)

国政政治学には7つのパラダイムが存在する。

パラダイムというのは簡単にいうと外交において参考にされたり、取り入れられる政策理論だ。

以下がその7つ。

1〜4は民主党の国政政治学者の掲げる理論だ。
5〜6は共和党のリアリスト外交派の勢力均衡理論(Balance of Power Theory)だ。

7はどちらにも被る。

1のウィルソニア理論は、国際機関をたくさん作って世界の国々がそれに従うことになれば平和になるという理論で、国連やWHOみたいな機関といえばわかりやすいだろう。

2は経済でお互いを依存させれば戦争はおきないだろうという理論

3は世界中を民主化すれば平和になるという理論

4は世界の政治や文化を同じようなものに構築していけばよいという理論

5と6は、歴史的に見れば最も長い間、各国で採用されてきた戦略で、各国が世界の勢力の均衡を巧みにバランスを取りながら外交していくというもので、戦略的に5は少し攻撃的ややり方も入れながら、6は主に自国の防御的に行うというものだ。

7は冷戦終結以後に大きく飛躍した戦略で、つまりはアメリカが世界で唯一の大帝国になり、世界中をフルに支配下におけばよいという強行的な理論だ。

アメリカが取ってきた外交戦略

この中で、過去32年間、アメリカが積極的に取ってきた外交政策は

3と7だ。

3と7は一見、全く反対方向を向いているように見える理論だが、ワシントンを牛耳る人たちにとっては、どちらも同じ結果になる。

3は7を実行するための表面上は平和的な言い訳に使えるからだ。

ウクライナへのロシアへの軍事介入の際も民主党側がしきりに使っていた言葉が

民主主義と独裁主義との戦い

だった。

ロシアは独裁国で、ウクライナは民主主義国だから、民主主義国のウクライナを全面支援するという口実だった。

しかし、それは表面上の言い訳であって、結局はアメリカの覇権主義を守るための戦いという本質は日本でもどのメディアでも報じていなかったし、報じるわけもない。

だから当初からウクライナ擁護にまっしぐらに扇動されていく日本人を見ていて

『あ〜また洗脳でやられているよ。。』

と不安に思い、私はTwitterでも何度も警告していたが、不思議にも自称保守の方からかなりの攻撃にあった。

その時に感じたのが、日本の言論界や市井のネット民の中でも保守と自称している人の多くは実は日本のためと言いながらも、アメリカの影響下にある人たちなのでは?ということだった。その中には意図的な扇動をしている人もおれば、無意識に影響を受けている人もいるのだろう。

一極集中覇権支配の始まり

さて、アメリカの一極集中支配の政策が出たのは1992年の冷戦終結直後のことだった。

それまではソ連とアメリカの二極が覇権を争う時代だった。
その戦いがソ連の崩壊により終わった2ヶ月後に作成されたのが、防衛計画ガイド(Defence Planning Guidance)だった。

この計画書は、ポール・ウォルフォウィッツ(ブッシュ政権下で国防副長官)の指揮のもと作成された機密文書だったのだが、約1ヶ月後には新聞社にすっぱ抜かれて世に出ることになってしまった。

1992年にペンダゴンが突然、舵を切った全方向完全支配政策(Full Spectrum Dominance)はこの計画に沿っている。

この機密文書の中で重要な点は以下だ。

・アメリカにとって、世界には4つの仮想敵国がある。
・それらはロシア、中国、ドイツ、日本
・これら4つの仮想敵国が世界の覇権国になれないようにする。
・更には地域的な範囲でもリーダーシップを取れないような状態に置いておく。
・そうすれば、アメリカは世界中を独占的支配下における。

冷戦は終わったとしても、日本とドイツがアメリカの仮想敵国である状態は変わっていない。ドイツが独立して、ヨーロッパで指導力を発揮できるような状態にしてはならない。

日本には自主防衛能力を与えず、東アジアのリーダーとならないようにしないといけない


ドイツと日本はアメリカに依存しなければ生きていけないような状態にしておかなければならない。

こういうことだ。

アメリカが一極集中の覇権国でい続けるためには、冷戦後もドイツと日本には自主防衛能力を持たせてはならない。

という考えは一貫している。

日本に自主防衛能力である核武装の話が上がらないのはアメリカの圧力があるからだ。

アメリカは3の民主的平和外交理論という名ばかりの戦略をもって、しかし実際は7の一極覇権主義のために、イラク、アフガニスタン、ソマリア、セルビア、リビア、イエメン、ウクライナと次から次からアメリカの言いなりにならないような国を見つける度に

「我々は民主的平和のために戦争しているのだ」

と言いながらその国々に軍事介入し続けてきた。

イラクにおいては

「フセインが大量破壊兵器を所有している」

という大嘘をついてまであの国を壊滅状態にまで追いやり、比較的穏やかに暮らしていたイラクの民は今でも無法地帯のような状態での暮らしを余儀なくされている。

イラク戦争のあの時、日本人はほぼ全員メディアに騙されてフセイン大統領が悪魔の極悪人であると思い込んでいた。
しかし、アメリカ側が嘘をついていた真実が明らかになった今、この死刑宣告を受けるフセイン大統領の動画をあらためて見たら、思うことがきっとあるはずだ。

死刑判決を聞くイラクのサダム・フセイン 大統領(2006年11月5日)
アメリカの大手メディアの嘘にまんまと騙されて、この人が極悪人だと思っていた当時の自分が恥ずかしい。

大失敗のパラダイムで利益をえる人たちの存在

外交においてはこのパラダイムのどれを取るかによって、舵の取り方が大きく変わる。

そして、どのパラダイムを取るべきかは、周辺国や敵対国などの世界情勢が大きく影響されることとなる。

だからこの世界情勢を見誤ったり、無視したりする外交政策をとれば、もちろん、失敗への道を歩むことになる。

過去32年間、アメリカは一極支配のためのパラダイムを取り続けたために失敗をし続けてきたのだ。

さらに言えば、そのアメリカの言いなりにしかならない日本は同じ間違った道を共に歩む続けてきたということになる。

1992年にこの防衛計画の機密文書が漏洩した時、それを読んだ、
ジョージ・ケナン、ヘンリー・キッシンジャー、サミュエル・ハンティントン、ケニス・ウォルツなどの超一流のリアリスト国際政治学者たちは、口を揃えて

「これは失敗する」

と警鐘を鳴らしていた。

一つの国が世界中を軍事力で叩きのめして支配するなんてできるわけがないというのが彼らの主張だった。

それまで世界の諸外国が過去5世紀間、試行錯誤しながらもやっていた勢力均衡外交を全て否定する政策だからだ。

とはいえ、軍産複合体、CIA、ペンタゴンにとっては美味しい政策でもある。

ペンタゴンの人たちにとっては、自分たちが一番強いとわかっていながら、弱い国を叩くのは気持ちがよいらしい。ジャイアン気質だ。

そしてそれらの強く結びつく軍事産業業界の人たちからしたら、新しい戦争が始まる度に、新しい兵器を開発する口実になるので自分たちの利益と直結することになる。

しかし、はじめの半年間くらいはジャイアン的な恫喝で支配できるとしても、1年も経てば結局は大きな反発を受けて占領に失敗して引き上げていくのがおちだ。

軍事介入と制裁によって、冷戦後の中東、中央アジア、北アフリカでは400数十万人の民間人が死んでいるにも関わらず、彼らは気にもしていない。

アウトサイダーのトランプ

これらの利権のつながりは、実は民主党側の人間だけではないところが複雑なところだ。共和党の中にもこれらの一極集中支配に賛成する人たちも多く、だからトランプがワシントンの政界ではあれだけ邪魔される存在なのだ。

今までの政治家(民主党でも共和党でも)の流れの中で、トランプの存在というのが例外中の例外なのであって、彼は政界の中ではかなりのアウトサイダーであることを覚えておかなくてはならない。

私が8年前からトランプ推しなのは、

戦争を回避しようとする人だから

の1点につきると言ってもよい。

様々な理由でトランプが好きな人もいるだろうし、嫌いな人もいるだろう。

そして、私がトランプ推しということで、陰謀論者だとか、何かの宗教団体と関係があるとか、好き勝手に妄想する人たちがたくさんいる。

日頃、どんなソースから情報をとっているか、どんなテレビや雑誌を見ているか、SNSで誰をフォローしている等々からも個人的な感情は形成されていく。

断っておくが、私はトランプファンでもなんでもない。

ただ、過去30年以上、アメリカが一極覇権支配のパラダイムを取り続けることで、世界中で民間人の被害者が出続けているというのに、自分達の金銭欲のために人殺しでもなんでもするという政権を応援する気にはならないだけだ。

ここまで深く考えてトランプを応援している人がアメリカにも日本にもそんなにたくさんいるわけではないだろう。しかし、平和が大事な日本人にとって、トランプが勝たないといけないことはわかってもらえたと思う。

【今回は『私がなぜトランプ政権を応援するのか』について語っていきました。最後まで読んで下さりありがとうございました。

沢山の方にシェアしたり、活動へのサポートを頂けたら励み💪になります!またツイッターでの発信もやっていますのでそちらの方も覗きにきてもらえたら嬉しいです。】

コメント

タイトルとURLをコピーしました