80年代、90年代の日本の音楽シーンを席巻し、常に時代を先取りした音楽作りで業界を牽引し続けていたTKこと小室哲哉さんの引退会見はたくさんの人に衝撃を与えだろう。
今の中高大生には馴染みが薄い人かもしれないが、彼は物凄い人だったのだ。TMネットワーク(TMN)という三人バンドでそれまでの日本の音楽シーンでは全く新しい音作りへの挑戦をし、高い周波数に低い周波数の日本語を乗せるという困難な試みで作る音楽は斬新なものだった。
それを成功させ、大ヒットをさせたのだからそれだけでも彼の類まれな才能を垣間見ることができる。シティーハンターという大人気アニメのエンディング曲に採用され大ヒットした「GET WILD」という曲なら若い世代でも一度は聞いた事があるだろう。
稀代の天才と言われ続け、ミリオンヒットを飛ばし続けるも、頂点の座にあぐらをかくわけでなく、常に自分の音楽を進化させようと努力を続けた。
彼はまだまだ若く、次世代の音楽家たちの才能を育んでいける存在だけに日本の音楽業界は本当に惜しい人を失くしたと思う。
幾多の困難、病気との闘いなど色々と紆余曲折があったにせよ音楽を辞めないで頑張って続けて欲しいと陰ながら思っていた私は、彼の引退に現代の人はそう興味もない人が多いのかなと思っていた。
しかし、私と同じような思いの人が想像した以上にたくさんいることをネットで目撃し、彼をきちんと評価していた母体の多さに少し安堵した。
それゆえにそれだけの根強いファンがいる彼をはっきり言って「くだらない記事」でまくしたて、執拗に謝罪に駆り立て、果てには引退にまで追いやった「文春」という週刊誌には怒りを覚える。
文春という週刊誌はあまりに下世話で商売目的を表に出し過ぎたやり方で一人の偉大な天才を引きずり下ろした。これに乗っかった日本人も同じように罪深いとも思う。
この件は私にとって偉大な音楽家の残念な引退という単純なことでなく、日本の現在の闇を見た。
小室氏はこの闇の被害者に見える。
日本にとって役立つ存在をどうしても消そうとする闇が日本を覆っているように見えて仕方がない。
才能ある人間が、その人がいることで日本が明るくなるような存在が、このような週刊誌ネタで叩かれ、疲弊して、消えていく姿を見る度に「ああ、また餌食にされたか。。」と残念に思えて仕方がない。
餌食にするならもっとして然るべき日本にとって邪魔でしかない売国奴と呼べる人はどれだけいることか。その人達は何をしようが叩かれない。この歴然とした差に日本の闇を見てしまう。
文春は道徳、倫理観という言葉を盾にとって、小室さんがまるで悪魔のような人物像であるかのように叩いた。忘れてはならないのは一線で活躍する超有名人と言えど彼は「私人」であるということ。
彼のプライバシーを根ほり葉ほり、ましてはあることないこと書きまくり、下世話な話題で読者を引きつけ金儲けをしようとした週刊誌が、まず他人の道徳や倫理観を叩く正義がどこにあるというのか。
不倫(といえど本人は体の関係はないと言う)をあれだけ叩くのなら、日本人の血税から給料が支払われる国会議員の不倫問題(これは明らかな体の関係があり相手の家庭も自分の家庭も崩壊させている)があったではないか。彼女は彼のように叩かれただろうか?いや、今でもしれっとニコニコ顔で女性誌で対談などしている。
国会議員がましてや小学校にもまだ通う前の小さい子供を放ったらかしての週四回の不倫。彼女は国民の税金で給料が支払われる公人だ。
小室さんのことをあそこまで問題視するのなら、それ以上に社会も「ならあの公人の政治家はどうなのよ」と下世話な煽りの火を消火するべく問題視して欲しかった。
はっきり言って一音楽家である小室さんの私生活は我々と関係ない。良い音楽を生み出してくれる事以外に興味もない。
老いも若きも日本の才能がどんどん埋もれていく姿は音楽業界だけではない。
至る所で手が回っている。