アジアがなぜ半導体製造を支配するのか。アメリカの対策とは?

半導体産業
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こちらはCNBCの記事だが、


半導体産業がなぜアジア依存になっているのかという説明と、それに対してアメリカはどうしようと対策しているのか

と言うことが詳しく書かれている。

大事な所だけを訳しておく。


この記事で大事な所は、アメリカの半導体投資への政策が単なる自給自足という観念からでなく、対中を意識したものであるということ。台湾は地政学上、チャイナの支配下にはいりやすい地域にあるために、安心できないのだ。


またこの記事の中にはその対中政策には日本も重要な役割を果たしていることが書かれている。日本は半導体製造に欠かせない国であるし、台湾に製造が集中しないように協力すると話し合っているとある。しかし、今回のTSMCの誘致では、製造でなく、あくまで共同研究施設の経営だ。


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TSMCとサムスンは半導体メーカーとして圧倒的な強さを誇っているが、それでもアメリカやヨーロッパ、日本の設備や機械に大きく依存している。
ファウンドリーが必要とするこれらの機器を製造する企業は、半導体資本設備ベンダー、略して「セミキャップ」と呼ばれる。

バンク・オブ・アメリカがガートナー社のデータを引用して発表したところによると、セミキャップ装置ベンダーの上位5社で市場の70%近くを占めているという。この5社のうち3社は米国企業、1社は欧州企業、1社は日本企業だ。
オランダに本社を置くASML社は、TSMCやサムスンなどの最先端のチップを作るために必要な、いわゆるEUV(Extreme Ultra Violet)を作ることができる世界で唯一の企業だ。

米国は何を計画しているのか、その理由は?
では、米国が半導体産業全体に遅れをとっているかというと、必ずしもそうではない。サプライチェーンに不可欠な企業もある。しかし、ひとつだけ遅れているのが製造業なのだ。

ジョー・バイデン大統領のもと、米国は製造業と安全なサプライチェーンにおけるリーダーシップを取り戻すことを目指している。

2月、バイデンは、半導体のサプライチェーンを見直してリスクを特定するという内容の大統領令に署名した。2兆ドル規模の景気刺激策の一環として、500億ドルが半導体の製造と研究に充てられた。また、「CHIPS for America Act」と呼ばれる法案は、先進的な研究開発を可能にし、サプライチェーンの安全性を確保するためのインセンティブを提供することを目的としており、現在、立法手続きを進めている。

一方、米国企業のインテルは先月、200億ドルを投じて2つの新しいチップ工場を建設する計画を発表し、ファウンドリとしての役割を果たすと述べた。これにより、TSMCやサムスンといった企業に代わる国内企業が登場する可能性がある。

サプライチェーンへの注目は、自動車業界を襲った世界的なチップ不足に促されたものだった。コロナウイルスの大流行により、ノートパソコンやゲーム機などの個人向け電子機器の需要が加速し、産業界や自動車メーカーが生産を縮小してた。しかし、その後の生産回復に加え、各分野でのチップ需要の高まりにより、チップ不足が発生した。TSMCやサムスンへの生産集中が問題を深刻化させている。

ミラボー証券のキャンプリング氏によれば、半導体の供給不足は、「米国の政権が自分たちの運命をコントロールできていないことを認識させたのではないか」という。

しかし、米国の政策を左右する地政学的な要因もある。

“ユーラシア・グループの地政学的テクノロジープラクティスの責任者であるポール・トリオロは、CNBCの取材に対し、

「長期的には、バイデン政権は国内外の半導体メーカーが米国内で生産能力を拡大し、台湾などの地政学的に敏感な地域での製造への依存度を下げ、米国内で高給のエンジニア職を創出することを引き続き奨励したいと考えています」

と述べている。
半導体分野における米国の政策の一部には、同盟関係の形成が含まれている。

今月初め、日本経済新聞は、米国と日本が半導体などの重要部品のサプライチェーンで協力すると報じた。日経新聞によると、日米両国は台湾のような特定の地域に生産が集中しないようなシステムを目指すという。

トロントを拠点とするコンサルティング会社、Center for Innovating the Futureの地政学的専門家であるアビシュール・プラカッシュ氏は、CNBCにメールで次のように語った。


中国の台頭に直面して、世界のチップ産業の仕組みを再設計しようとしているのです。これは、必ずしも自給自足のためではありません。むしろ、AIからチップに至るまで、地政学から隔離された重要なセクターを構築することが目的です。そして、中国に対する米国の懸念を複数の国が共有しているため、米国は世界の一角を占めているのです。」

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