2021年4月12日に、アメリカにおいて半導体サミットが開催された。
どうやらインテルがアメリカのチップ生産事業に乗り出すというのは色濃くなってきたようだ。
バイデン政権も50ビリオンドルの援助をこの産業に費やすといっており、インテルCEOも20ビリオンドルをかけてアリゾナに2つの工場を建てると言っている。
このサミットに関する報道のロイター記事の翻訳を以下で共有する。
半導体サミットに関するロイター記事
ジョー・バイデン米大統領は月曜日、大手企業の幹部と会談し、自動車メーカーを直撃している世界的なチップ不足について議論し、インテル社が今後6〜9ヵ月の間に自社工場で自動車工場向けのチップを製造する計画を発表したことを明らかにした。
バイデン氏は以前、2兆ドル規模のインフラ計画の下、米国の製造業の再建を推進する一環として、半導体の製造および研究に500億ドルを投資する計画を発表している。
世界的なチップ不足は、昨年のCOVID-19パンデミックの際に工場を閉鎖した自動車メーカーが、広大な家電業界とチップ供給をめぐって競合していることに起因している。この業界は、人々が家で過ごす時間を増やすことでブームになっているからだ。
バイデン氏と彼のトップアドバイザーは、半導体不足を「最優先かつ緊急の課題」と捉えていると、ホワイトハウスは会議後に発表した。
この会議に事実上出席したインテル社のパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、ロイター通信に対し、
米国の一部の自動車工場で組み立てラインが停止している半導体不足に対処するため、6〜9ヵ月以内に自社工場でのチップ生産を開始したい
と述べた。
この供給不足により、今年の米国の自動車および小型トラックの生産台数が130万台不足する可能性があるとのことだ。
ゲルシンガー氏は
「我々は、これらの問題が緩和されることを期待しています。3~4年かけて工場を建設する必要はなく、既存のいくつかのプロセスで新製品の認証を受けてから6ヵ月程度かかるでしょう。我々はすでにいくつかの主要部品サプライヤーとの契約を開始しています」
と述べた。
インテルは先月、アメリカとヨーロッパに新工場を建設し、外部向けのチップ製造を大幅に拡大する計画を発表した。月曜に発表された自動車部品メーカーとの交渉はこの計画を加速させるものだ。
ホワイトハウスでの会議には、ゼネラルモーターズのメアリー・バーラCEO、フォード・モーターのジム・ファーレイCEO、クライスラーの親会社であるステランティスNVのカルロス・タバレスCEOなど、主要19社の幹部が参加した。ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安全保障顧問、ブライアン・ディース国家経済会議長官、ジーナ・ライモンド商務長官も参加した。
バイデンはセッションの冒頭で、
「本日、超党派の23人の上院議員と、共和党と民主党の42人の下院議員から、『アメリカのためのチップ』プログラムを支持する手紙を受け取りました」
と述べた。
また、GlobalFoundries、TSMC、AT&T、Samsung Electronics Co、Googleの親会社であるAlphabet Incなどの企業の幹部も参加した。
ホワイトハウスは声明の中で、
参加者は、現在の不足を緩和するために半導体サプライチェーンの透明性を高めること、そして将来の課題を回避するために需要予測を改善することの重要性
を強調した。
また、「二度と半導体不足に陥らないよう、米国内での半導体製造能力の増強を促進することの重要性」についても議論された。
ホワイトハウスのジェン・プサキ報道官は記者団に対し、「参加者はチップ不足に対処するための短期的および長期的なアプローチについて議論したが、この会議から直ちに決定や発表がなされることはないだろう」と述べている。
業界団体によると、ブロードバンド・インターネット、携帯電話、ケーブルテレビ会社も、「ネットワーク・スイッチ、ルーター、サーバー」の受け取りが遅れているという。
今週末、上院商務委員会は、中国との競争に対処するために技術研究開発を強化するための超党派的な対策について、最初の公聴会を開催する予定。
“サリバン国家安全保障顧問は声明の中で、「危機ごとにサプライチェーンに対処しようとすると、国家安全保障上の重大な脆弱性が生じる」と述べている。(ロイター記事)
感想
このニュース記事を読んで思ったことは、
『やはり日本の政治はこの超党派で国を強くするという意識がものすごく低いな』
ということだった。
チャイナの脅威は地政学的にもアメリカよりもずっとあるというのに、この危機感のなさは、やはり幸か不幸か「御伽話のような国♪」に住んでいることなんだろうなと感じざるを得ない。
日本の国基産業の車産業でさえ、この問題に正面から向き合わないと大変なことになる。
日本の技術は今でも世界トップレベルだということも忘れてはならない。
その強みを活かし、それを日本政府が大々的に国家戦略として後押しして欲しいと心から願う。
アメリカはそれを超党派でやっているのだ。